ええ、実はその話には続きがあるのよ。そう、銀髪の少年と長髪の少年と、あともう一人ワタシの夢のなかに迷い込んできた人がいるの。
顔は・・・あまりよく思い出せないわ。背格好や、髪色とか、特徴らしい特徴は何も。なにせ入ってきてからすぐに出ていってしまったのですもの。顔を見るすきもなかったわ。
その人はね、ワタシの夢に落ち込んできてすぐに立ち上がって、自分が立っている場所がわかっていたのね。そして、そこが一体どういう性格の土地なのかも、すべて、おみとうしだったのかも。焦る様子はないわ、迷う様子もないわ、あまつさえ、あくびなんかする始末よ。まわりをぐるりと見まわして、やれやれ大変なところに来てしまった。とぼやいて、何かを知っているかのようにふむふむとうなずいているの。ワタシ、どきりとしちゃった。何をするのかしらと思っていたら、その人は何の躊躇もなく白い壁に爪を立てたの。その人、すっごく爪が鋭くて、すっごく爪が長くて、そして、すっごく硬かったのよ。たいていのものは刺さったりしないはずのワタシの壁に、ブスって勢いよく刺さったのよ。ワタシびっくりしちゃって。その人がいるのがワタシの夢の中じゃなかったら、ヒステリックになってすぐにくびり殺していたところよ。あんまりしつこく壁をガリガリ引っかいて、あんまり執拗に壁を痛めつけるものですから、ワタシ思わずひいって悲鳴をあげてすぐに吐き出しちゃったわ。そう、全部よ全部。おしいことしたなあ。
吐き出して、その人はすぐに何事もなかったかのように立ち上がって、やれやれ大変な目にあった。ってすっかり憤慨して、のしのしと足を踏みならしながら次の夢へと出ていっちゃったのよ。怒りたいのはこっちよ、まったく。
それにしても、おしいことしたなあ。その人、けっこういい舌触りしていたのに。滑らかで、とろけるような、甘あい味だったのよ。これ、本当の話。