プロローグ【UN NOWN】
俺の後輩の鳳長太郎は、戯れなのか冗談なのかはよくわからないけど、ことあるごとに『好き』だと言ってきた。愛している、好き、最大級の友愛の言葉。だが、長太郎にそんな言葉を投げかけられても、当時の俺は『好き』という言葉の意味がよくわからなかったし、説明されても理解できなかった。そのころはまだ俺の髪は長くて、丁度あいつと特訓をはじめたころで、俺はまだ長太郎のことを軽く敬遠していた。他人と馴れあっていると、一人では何もできない弱い人間になってしまうものと、誤った認識を抱いていた。だから俺は長太郎の『好き』になんら解答を出さなかった。当然、長太郎のその言葉は当時学校で流行っていた『告白ごっこ』に影響された、特に深い感情もない何気ないものだったんだろうけれど、長太郎が俺に『好き』だと言ってくれたのは事実で、俺がそれをほとんど無視したのもまた、事実だった。
07,07,13:UP
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