あいつらがやっと帰っていき、病室はやっと静けさを取り戻した。俺はふと冷静になり自分がいる場所が病院であることを思い出し、同室の他の患者さんに頭を下げて騒がしくしてすいませんと謝った。
夕日は沈みきり、肌寒い夜が降りてきた。俺は適当に持っていた本を読みながら長太郎のそばにいたのだが、彼ははいつのまにか眠りに落ちてしまっていた。
面会時間はとうに過ぎている。消灯時間も、ついさっき過ぎた。俺は看護士さんに無理を言って今晩だけはここにいさせてもらうことの許可を得ていた。
俺は突然、強烈に眠くなってきた。時計を見るとまだ11時だった。ふと安心するとその拍子に眠くなるということは、別に珍しいことではないことだ。
俺は重たいまぶたをこすりながら長太郎を見つめる。相変わらずこいつの寝顔は無邪気すぎて笑える。俺はなんだかほほえましくなり、長太郎の銀髪をくしゃくしゃとなた。
長太郎の銀髪が、風もないのにふわりと揺れる。月の淡い光を受け、それは白く輝いて見える。俺は思わず、目を細めてそのきらめきを眺めていた。
そして、とぷんと眠りに沈みこんだ。
どこか上の遠くの方で、俺の手からドサリと本が落ちる音を、聞いたような、気が、し、た・・・。