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気がついたら朝だった。おれはいつのまに眠ってしまったのか、宍戸さんによりそうようにして眠っていた。
宍戸さんは、おれのベッドにうつぶせたまま静かな寝息をたてている。ふと足元に落ちている本を見つけて、きっと宍戸さんの手から落ちてしまったのだろうと思って拾い上げようと体を動かした。
そのとき、おれの頭を切り裂くような痛みが走った。
びっくりした。そうだった、昨日おれは自転車にぶつけられて頭をひどく打っていたんだった。それで、検査のために入院しているんだった。
外を見てもまだ暗くて、おれはひまだから先に彼の朝食の準備か何かをしておこうかなと思った。
あ、でもそのことを昨日宍戸さんに怒られたんだったっけ。お人好しすぎるって、まるで召使いのようだって、そのことを宍戸さんは怒っていたんだった。
じゃあ、おれはどうすればいいのだろう。たとえば、一緒に朝食を作ればいいのかな、とふと考えたが、それもちょっと違う気がする。おれはどうすればいいかわからないで、彼のなめらかな黒髪に視線をほのめかせた。
その時、深い黒を切り裂くように陽がさしてきた。その輝きは少しずつ明るさを増し、赤く燃え上がってゆく。
おれはその光を見て、不思議な気分になって目を細めた。なんと説明すればいいのか、わからない。妙な気分だ。体が不思議とフワフワしていて、関節を動かすたびに少しだけ違和感が残っている。
強いて言えば、自分の手のひらを見つめて、握って、離して、感触を確かめたくなるような、そう言う気分だった。
そう、それだけが不思議なのだが……。
(妙にこの感触がが久しぶりな気がしてならなかった)
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